アメリカの医療保険会社は非常に多く何千社もあると言われています。その上保険のプラン(保障内容/範囲)も大変複雑です。
一般的に、自分が払う年間の保険料が高いほど、受診時の自己負担額は低く、利用できる医療機関の制限は少ないとされています。持病も無く、病院にかかる可能性の低い人にとっては、ほとんど病院に行くことがないので、(例え1回の受診の自己負担は多少高くでも)年間の保険料が安い保険に入るのがいいでしょう。また病気や出産などで何度も病院にかかったり入院したりする人にとっては(年間の保険料は高くても)一回の受診の自己負担が安い保険に入るのがいいでしょう。
またアメリカには「ネットワーク」という日本にはなじみの無い概念が存在します。これは各保険会社が提携している医療機関や医師個人で構成されるグループのことで、ネットワークの内と外では、負担する医療費に差があります。その保険会社が提携していない病院(ネットワーク外の病院)で診療を受けると、医療費はより高くなります。医療機関を受診する際は、まず自身の加入する保険会社のネットワーク内にある医療機関を確認しましょう。
保険会社のウェブサイトでは、自身の契約内容や受診履歴などを確認することができます。まず一度、確認してみましょう。
医療機関を受診すると、以下の2種類の書類が届きます。
■請求書(Bill)---医療機関が発行
■EOB(Explanation Of Benefit)---保険会社が発行
いずれも受診後、約1~2カ月後に届きます。請求書は、BillやStatement of Professional Servicesなど表示されており、受診者が医療機関に対して支払う金額を示したものです。
これに対し、EOBは保険会社からの保険給付説明書で、治療・検査の内容や費用の負担額を記したものです。トラブルが発生した際の証明書となるので、大切に保管してください。
また、「既に医療費を支払っているのに、何度も請求書が届き、必要以上に支払ってしまった。」「行なっていない検査や治療まで請求された。」などのトラブルもよく見受けられますので、いつ、どこの病院を受診して、どのような診察を受けたかを記録しておきましょう。
医療費に関して何か不明な点があれば、まず保険会社に尋ねてください。実際に行なった治療や検査に食い違いがある場合は、受診した医療機関に連絡してみてください。医療費に関する心配があれば、事前に費用を確認しましょう。
保険のプランや請求書の内容を理解するために、以下の基本用語は押さえておきましょう。
■Premium:
被保険者が保険会社に払う月々の保険料。
■Co-Pay:
医療項目(診察を受けるなど)ごとに、患者が支払う一部負担金。通常窓口で支払うので窓口負担金とも呼ばれますが、後日払いの場合もあります。$10~40など項目によって金額は異なります。
■Co-Insurance:
医療項目ごとに、患者が支払う患者の負担割合。10%、20%など割合が決められています。
※Co-PayやCo-Insuranceは保険プランによって、医療項目毎(初期治療・専門医・検査・救急外来・入院・手術・投薬など)に細かく決められています。
■Bill, Statement of Professional Services:
医療機関からの請求書。かかった医療費の総額、そのうちの保険会社の支払う額、受診者の支払う額が表示されています。
■EOB (Explanation Of Benefit):
保険会社からの保険給付説明書。治療や検査に関する内容や費用の負担額が記載されています。トラブルが発生した際の証明書となるので、大切に保管してください。
※EOBとBillは診察の度に送られてきますが、入院の場合などは項目ごと(麻酔、手術、レントゲンなど)に分かれてくる場合もあります。
■Deductible:
年間免責額。医療費がこの金額に達するまでは、保険からの支払はありません (全額を受診者が負担します)。この金額を超えた場合、患者が残りの一定の 割合を負担します。Deductibleが無く、最初からCo-Pay, Co-Insuranceだけを払 うプランもあります。
■Out of Pocket Maximum:
年間最大自己負担額。1年間に自分のポケットから出す額(Deductible分と
Co-Pay, Co-Insurance分)がこれを越えた場合、保険会社が100%支払います。ただし、Out of Networkの医療費が含まれないなど、規定がある場合もあるので、注意が必要です。月々の保険の掛金(保険料)は含まれません。